海外から一時帰国して大きな手術を受ける場合 ― 滞在期間の重要性2026.02.17
海外在住の患者様が一時帰国のタイミングで
腹部脂肪吸引やハイブリッド豊胸などの侵襲度の高いオペを希望されるケースは少なくありません。
その際、私が必ずお伝えしているのは、
「最低でも1週間は日本に滞在できるスケジュールを確保してください」
ということです。
■ なぜ“1週間”なのか
術後のトラブルは、手術直後ではなく数日後に顕在化することが多いからです。
特に注意すべきは以下のリスクです。
① 感染
術後感染は、通常術後数日〜1週間程度で発症することが多いです。
発赤・腫脹・疼痛・発熱などが出現した場合、早期対応が重要になります。
② 大量脂肪吸引後の貧血
腹部や大腿などの広範囲吸引では、一定の出血量を伴います。
軽度の貧血症状(倦怠感・立ちくらみ)が出ることもあります。
③ シリコンバッグ豊胸後の出血リスク
術後早期は出血や血腫形成のリスクがゼロではありません。
④ エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)
手術侵襲により一時的に凝固系が亢進します。
そこに長時間フライトが加わると、血栓形成リスクが上昇します。
特に、
- 大量脂肪吸引後
- バッグ挿入後
- 長時間(8時間以上)の国際線
では慎重な判断が必要です。
■ 手術直後の長時間フライトは安全とは限らない
術後すぐに飛行機に乗ること自体が絶対禁忌というわけではありません。
しかし、
✔ 血栓リスク
✔ 出血リスク
✔ 感染初期症状の見逃し
を考えると、医学的に安全とは言い切れない状況もあります。
安全第一で考えるなら、
抜糸・創部チェック・状態安定を確認してからの帰国が理想です。
■ 実際のケース
先日、🇦🇺オーストラリアから一時帰国された患者様は、
- 二の腕脂肪吸引
- 腹部脂肪吸引
- ハイブリッド豊胸
を施行。
術後経過を確認し、抜糸を行い、
術後約1週間滞在後に再出国されました。
このスケジュールであれば、
術後急性期のリスクはある程度コントロールできます。
■ 27日後は拘縮ピーク
なお、術後約3〜4週間(約27日後)は、
脂肪吸引部位の拘縮がピークに達する時期です。
腹部はボコボコとした硬さが出現しやすく、
✔ 圧迫
✔ マッサージ
✔ 適度な運動
が非常に重要になります。
遠方在住の方でも、
オンラインフォローや経過写真での管理は可能です。
安全を最優先に
美容医療は「いつ受けるか」も重要ですが、
「どれだけ安全に帰れるか」も同じくらい重要です。
海外からの一時帰国手術は、
スケジュール設計まで含めて“医療”です。
理想だけでなく、リスクまで含めて設計する。
それが、本当の意味でのハイクオリティ医療だと考えています。
