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Columnコラム

ボディの皮膚タイトニング|高周波(RF)と超音波(HIFU)の使い分けと限界を医師が解説2026.07.15

「脂肪吸引後に少し皮膚のゆるみが気になる」「年齢とともに、お腹や二の腕の皮膚がふわっと伸びてきた」——このようなご相談に対して、近年注目されているのが皮膚タイトニングです。切開を伴わずに真皮や皮下組織のコラーゲンへ熱エネルギーを加え、線維の即時的収縮と、その後の創傷治癒過程による新生コラーゲンの産生を誘導する非侵襲治療の総称で、代表的なデバイスとしては高周波(RF)と集束型超音波(HIFU)があります。両者は作用する深さと得意な症例が異なるため、正しい使い分けが仕上がりを左右します。本稿では作用機序と、ボディでの選び方、そしてこの治療の限界を医学的に整理します。

この記事の要点

・皮膚タイトニングは真皮~皮下組織のコラーゲンを熱変性させ、収縮と新生を誘導する非侵襲治療の総称です

・高周波(RF)は真皮~浅い皮下まで広範囲・面状に、集束型超音波(HIFU)はSMAS~深筋膜レベルまで点状に到達します

・脂肪吸引後の軽度のゆるみや、加齢による軽度~中等度のたるみが、ボディでの主な適応となります

・皮膚の余剰量が大きい場合や、真皮の伸展破綻がある場合は、非切開治療の限界を超えるため切開リフトを検討します

・照射は1回では完結せず、複数回・数か月単位の経過観察を前提とする治療です

皮膚たるみ 引き締め 施術

皮膚タイトニングとは何か——熱でコラーゲンを再構築する治療

レーザー・高周波(RF)・集束型超音波(HIFU)などのエネルギーを皮膚および皮下組織へ選択的に加え、コラーゲン線維を熱変性させることで即時的な収縮を得るとともに、その後の創傷治癒過程で新生コラーゲンを誘導し、長期的な引き締めを図る——これがこの治療の基本原理です。

コラーゲン線維は約65℃前後で三重らせん構造がほどけ、収縮しはじめることが知られています。これを臨床で安全に再現できる範囲まで熱を到達させ、周囲組織の損傷は最小限に抑える——ここに設計の妙があります。ただし、熱を加える「深さ」と「範囲」がデバイスにより大きく異なり、それが得意な適応を決定します。

「切らずに引き締める」ためのアプローチ

外科的切除と異なり、この治療は皮膚を切開せず、余剰な皮膚を物理的に切除するわけではありません。あくまで既存のコラーゲンネットワークを引き締め、新生を促すことで見た目のハリを取り戻す治療です。したがって、皮膚のたるみが軽度~中等度であることが適応の目安になります。

高周波(RF):真皮から浅層皮下を「面」で温める

高周波(Radio Frequency, RF)は電磁波の一種であり、皮膚に流れる際に組織抵抗によって熱を発生させます。バイポーラ・モノポーラ・マルチポーラなどの電極配置により、熱が到達する深さを比較的コントロールしやすいのが特徴です。

作用深度は多くの機種で真皮浅層から皮下1cm程度までとされ、皮下脂肪層の浅い部分やその上の真皮を「面」として温めます。したがって、脂肪吸引後の浅層に生じる細かな皮膚のゆるみや、皮下脂肪と皮膚の境界のもたつきに対して有効性が期待されます。

代表的なマシンとしてはInMode BodyFXやモフィウス8シリーズなどがあり、当院でも脂肪吸引後の仕上げとして症例に応じて併用しています。連続的に照射する機種が多く、比較的痛みが穏やかで、ダウンタイムが軽いのも臨床的な利点です。

RFの得意な症例

・脂肪吸引後の浅層のゆるみ

・二の腕内側や下腹、内ももなど、真皮の薄さが目立つ部位

・軽度のセルライトや皮膚のざらつき

集束型超音波(HIFU):SMAS~深筋膜まで「点」で到達する

集束型超音波(High-Intensity Focused Ultrasound, HIFU)は、超音波エネルギーを組織内の一点に収束させ、局所的に約65~70℃の凝固点(TCP:Thermal Coagulation Point)を形成する技術です。特徴的なのは、皮膚表面をほとんど加熱せずに、深部のみをピンポイントで加熱できる点にあります。

到達深度は機種やカートリッジによって1.5mm、3.0mm、4.5mmと選択可能で、顔面ではSMAS層(表在性筋膜系)に、ボディでは深筋膜や皮下深層に届かせることが可能です。面ではなく「点」で深部に凝固点を作り、その周囲の創傷治癒によりコラーゲンを新生させて、深部から引き上げる効果を狙います。

HIFUの得意な症例

・皮下深層のもたつき(下腹・脇腹など)

・体幹部で深筋膜レベルの支持が弱っている症例

・表層は問題ないが、深部の支持組織のゆるみが主体である症例

ボディにおける皮膚タイトニングの使い分け

RFとHIFUは競合する技術ではなく、作用する深さが異なるため、症例に応じて使い分けるか、あるいは併用するのが実臨床の考え方です。

脂肪吸引後の仕上げとして考える場合、皮膚の浅層のゆるみが主体であればRFが第一選択となります。一方、皮下深層のもたつきや、体幹部の深筋膜レベルでのゆるみが主体の症例では、HIFUの併用を検討します。

見極めのポイントは、「その皮膚がどの層でゆるんでいるのか」を触診と視診で丁寧に判断することです。真皮そのものが伸びきってしまっている場合は、いくら熱を加えても十分な収縮は得られません。そうした症例では、非切開治療では届かない領域として、切開による皮膚切除の適応を検討します。

皮膚タイトニングの限界と切開リフトの選択

どのデバイスも万能ではありません。真皮の弾性線維が広範に破綻している場合、熱による収縮反応そのものが乏しくなり、期待した引き締めが得られにくくなります。具体的には、大幅な体重減少後の皮膚、多産後の腹部、加齢による強い皮膚余剰などが該当します。

こうした症例では、皮膚を物理的に切除する切開リフト(二の腕リフト、腹壁形成、太ももリフトなど)が最終的な選択肢となります。あくまで軽度~中等度のたるみに対する治療である以上、皮膚余剰の程度を客観的に評価したうえで、非切開・切開の分岐点を判断することが臨床上重要です。美容外科の安全基準については日本美容外科学会の情報も参考になります。

複数回・長期での評価が前提

コラーゲンの新生は照射直後には完了せず、数週間~数か月かけて徐々に進行します。多くの症例で1回の照射では十分な効果が得られず、3~6か月ごとに複数回の照射を行い、経時的に評価していくことが標準的です。「1回で劇的に変わる」という期待は現実的ではないため、治療計画は主治医と相談したうえで長期的視点で立てることをおすすめします。

過去のコラムも参考になります。脂肪吸引・豊胸の関連コラム一覧はこちらから、術式・ダウンタイム・デバイスのテーマもご覧いただけます。

よくある質問

Q. 脂肪吸引後、いつから始められますか?

一般的には術後3か月以降、拘縮期がある程度落ち着いてから検討することが多いです。拘縮のピーク時期に熱を加えると、皮膚の反応が過剰になるリスクがあるためです。ただし機種や適応、個々の回復状況によって開始時期は異なりますので、主治医と相談してください。

Q. 高周波(RF)と超音波(HIFU)はどちらを選べば良いですか?

浅層のゆるみが主体であればRF、深部の支持組織のゆるみが主体であればHIFUが第一選択となります。両者は競合ではなく、深さの異なるアプローチとして併用するケースも少なくありません。カウンセリングで皮膚の状態を触診してから決定します。

Q. 1回で効果が出ますか?

1回でも一時的な熱収縮の効果は感じられることがありますが、新生コラーゲンによる長期的な引き締めは3~6か月かけて緩やかに現れます。多くの症例では複数回の照射を計画的に行うことで、より安定した結果が得られます。

Q. 妊娠中や授乳中でも受けられますか?

妊娠中および授乳中は原則として推奨されません。ホルモン変動により皮膚の反応が予測しにくく、また安全性のエビデンスが十分でないためです。妊娠・授乳が終了し、身体が安定してから検討することをおすすめします。

Q. 皮膚タイトニングだけで、二の腕の皮膚は完全に引き締まりますか?

軽度のゆるみであれば十分な改善が期待できますが、強い皮膚余剰がある場合には非切開治療だけでは限界があります。その場合は二の腕リフト(切開)や、脂肪吸引との組み合わせを検討する必要があります。

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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)

日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員

米国医師免許資格(ECFMG certificate)

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