脂肪吸引の凹凸修正は「足し算」で整える|追加吸引と脂肪再配置の使い分けを森脇医師が解説2026.07.26
脂肪吸引後に「凹凸が残った」「一部だけへこんでしまった」というご相談は、修正外来で最も多いテーマの一つです。多くの方は「吸い残しをさらに吸えばフラットになる」とお考えになりますが、実臨床では逆に「足して整える」ほうが安全で自然な仕上がりに近づくケースが少なくありません。本稿では、脂肪吸引凹凸修正における追加吸引と脂肪再配置の使い分けについて、森脇医師の視点で医学的に整理していきます。
この記事の要点
・脂肪吸引凹凸修正では「引く」か「足す」かの判断が最重要で、原因の層を見極めずに追加吸引を重ねると凹みが深くなる。
・へこんだ部分の直下に瘢痕(線維化)が固く形成されている場合、上から追加吸引しても表面は平らにならない。
・脂肪再配置(マイクロファット・ナノファット)は真皮直下の癒着を剥離しながら組織量を戻す治療で、テザリングを解消する。
・追加吸引と脂肪再配置は対立するものではなく、周囲の突出を軽く整え中央のへこみに脂肪を戻すという「複合デザイン」で使う。
・修正は初回手術より難易度が高く、瘢痕成熟を待つ6〜12ヶ月の待機期間と、皮膚厚・血流評価がカギとなる。

凹凸の正体は「吸い残し」ではなく「層のダメージ」であることが多い
脂肪吸引後に生じる凹凸を、患者様は「まだ取り残された脂肪がある」と誤解しがちです。しかし修正外来で診察してみると、実際には吸い残しよりも、真皮直下の癒着や線維化、浅層過吸引による皮下組織の菲薄化が原因となっているケースが大半です。この状況で単純に追加吸引を行うと、残っていないはずの層をさらに削ることになり、凹みがより深く、境界がより鋭くなってしまいます。
脂肪吸引凹凸修正の第一歩は、視診・触診・エコーで「なぜ凹凸に見えているのか」の層別診断を行うことです。周囲の脂肪が相対的に厚く、中央がへこんで見えているのか。それとも中央部の皮膚が瘢痕で下方に牽引されているのか。この二つは治療戦略が正反対になります。
「引く」と「足す」を分ける4つの判断軸
1. 皮下脂肪厚(ピンチテスト)
つまめる脂肪が2cm以上あり、周囲との差が明らかな場合は追加吸引の適応となります。一方、ピンチテストで1cm未満しかつまめない部位を追加吸引するのは危険で、真皮直下ダメージを深めるだけの結果になりやすいです。
2. テザリング(皮膚牽引)の有無
皮膚を指でつまんで持ち上げたとき、局所的に引き込まれる部位は瘢痕による癒着(テザリング)が疑われます。この状態で追加吸引しても皮膚は上に戻りません。まず癒着の剥離、そして脂肪再配置が優先されます。
3. 皮膚の可動性と厚み
皮膚が薄く、皮下組織が乏しい部位は追加吸引の禁忌に近い状態です。皮膚をこすったときに動きが悪く、赤みが残るような部位は瘢痕成熟がまだ進んでいない可能性があるため、修正時期の再検討も必要です。
4. 血流と組織の色調
色素沈着や毛細血管拡張が強く出ている部位は循環障害の名残があり、追加吸引で血流をさらに損なうと創傷治癒が遅延します。この場合はまず脂肪注入で組織量を回復させ、血管新生を促す方向に切り替えます。
追加吸引が有効な脂肪吸引凹凸修正のケース
「周囲の脂肪が厚く、凹みが相対的に見えているタイプ」では、控えめな追加吸引で全体をなだらかにするアプローチが有効です。ポイントは、へこみの中心を吸うのではなく、境界部の突出をシリンジで少量ずつ「削る」ことです。カニューレは2mm前後の細径を選び、レイヤード(層別)吸引で浅層を残しながら中層〜深層を薄く均します。
この際に大径カニューレやマシン吸引を用いると、瘢痕組織の中で吸引ムラが起き、凹凸が悪化することがあります。修正の追加吸引は「量を取る手術」ではなく「境界をぼかす手術」であるという意識が不可欠です。
脂肪再配置(マイクロファット・ナノファット)が有効なケース
皮膚直下の癒着や線維化で凹みが固定されているタイプでは、脂肪再配置が第一選択となります。手順としては、まず極細の鈍針やV字ディセクターで癒着を機械的に剥離(サブシジョン)し、その空間にマイクロファット(1mm前後の細かい脂肪粒)またはナノファット(さらに乳化した脂肪)を層別に注入します。これによりテザリングが解除され、凹んでいた皮膚が持ち上がります。
マイクロファットは体積回復と輪郭の整えに、ナノファットは真皮直下の質感改善と色素沈着の緩和に向いています。修正では両者を組み合わせ、最下層に少量ずつ多層的に注入することで、凹凸を平均化していきます。単に大量注入するのではなく、生着可能な量を守りながら分割して行うことで、しこりや脂肪壊死のリスクを最小化します。
「引く」と「足す」の複合デザインという発想
実際の脂肪吸引凹凸修正では、片方だけで完結することは稀です。周囲の突出部を軽く追加吸引で削り、中央のへこみに脂肪再配置で組織量を戻す──この「複合デザイン」が最も自然で再現性の高い結果につながります。
たとえば太もも内側に段差が残った症例では、境界にあたる前面側の脂肪をシリンジで薄く整えながら、内側のへこみに0.5cc単位でマイクロファットを層別注入することで、両者の高低差を面としてなだらかに接続していきます。この考え方は、二の腕・腹部・臀部の凹凸修正にも共通する基本原則です。
修正のタイミングと待機期間
修正手術を焦らないことも重要です。初回手術直後の凹凸の多くは、拘縮(線維化)の一過性の現れで、6ヶ月から1年をかけて改善していきます。この時期に追加吸引や脂肪注入を行うと、まだ成熟していない瘢痕組織を刺激し、かえって凹凸が固定化されてしまうリスクがあります。原則として初回から6〜12ヶ月の待機期間を設け、瘢痕成熟を確認してから修正計画を立てるのが安全です。美容外科の安全基準については日本美容外科学会の情報も参考になります。
脂肪吸引凹凸修正で失敗しないための3原則
第一に、原因の層を診断せずに追加吸引を重ねないこと。第二に、脂肪注入を「万能の穴埋め」と考えず、注入量と層を慎重に設計すること。第三に、瘢痕成熟を待つ時間を惜しまないこと。この3点を守ることで、修正の成功率は大きく変わります。
脂肪吸引凹凸修正は、初回手術より難易度の高い治療領域です。だからこそ、追加吸引だけに頼らず、脂肪再配置と組み合わせた「足し算の修正」という発想を持つことが、最終的な美しい輪郭への近道になります。より多くの症例解説は脂肪吸引の関連コラム一覧はこちらからご確認いただけます。
よくある質問
Q. 凹凸が気になります。すぐに追加吸引で治せますか?
初回から6ヶ月未満の場合、多くの凹凸は拘縮によるもので、時間の経過とともに改善します。この時期の追加吸引はかえって瘢痕を刺激するリスクがあるため、まずは経過観察と拘縮ケアが優先されます。
Q. 追加吸引と脂肪注入はどちらが安全ですか?
安全性は「どちらか」ではなく「どの層に何を行うか」で決まります。周囲が厚ければ追加吸引、皮下が薄く癒着があれば脂肪注入が適応となります。誤った選択は凹凸を悪化させます。
Q. 脂肪再配置で入れた脂肪はしこりになりませんか?
1回あたりの注入量を守り、マイクロファットを層別に多点少量で注入すれば、しこり形成のリスクは大幅に下げられます。大量注入をせず、必要なら複数回に分けるのが原則です。
Q. 他院で受けた脂肪吸引の修正もお願いできますか?
可能ですが、まず視診・触診・エコーで層別診断を行い、初回術式と経過を確認します。修正は初回より難易度が高いため、待機期間と治療計画を丁寧に共有した上で進めます。
Q. 修正はどのくらいで完成しますか?
脂肪注入の生着安定に3〜6ヶ月、追加吸引の拘縮消失に3〜6ヶ月かかります。完成の見極めには、最終的に6ヶ月以上の経過観察が必要です。
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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)
日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員
米国医師免許資格(ECFMG certificate)
📍AVAN TOKYO 銀座脂肪吸引クリニック
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