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Columnコラム

顔の脂肪吸引で頬がこけるリスク|バッカルファット(頬脂肪体)と皮下脂肪の見分け方を医師が解説2026.07.25

「顔の脂肪吸引を受けたら、頬がこけて老けて見えるようになった」――これは、顔の脂肪吸引を検討する多くの方が最も恐れているリスクの一つです。頬がこける原因は「脂肪の取りすぎ」だけではありません。多くの場合、皮下脂肪とバッカルファット(頬脂肪体)を混同したまま設計が行われた結果、本来残すべき深部脂肪までダメージを受けてしまうことが背景にあります。この記事では、顔面の脂肪解剖と、頬こけを避けるための脂肪吸引デザインについて、日本美容外科学会所属の森脇医師が医学的に解説します。

この記事の要点

・顔の頬こけは単なる「取りすぎ」ではなく、皮下脂肪とバッカルファットの混同、そして加齢による脂肪パッド萎縮の重なりで起こる。

・バッカルファットは表情筋の深部にある独立した脂肪体で、皮下脂肪吸引のカニューレでは通常触れられない層にある。

・頬こけを避ける鍵は、頬骨下・エラ下・顎下という「取ってよいゾーン」と、頬中央・目の下・こめかみという「残すゾーン」を明確に分けること。

・バッカルファット除去は不可逆で、20代で受けた方が40〜50代になった時に頬痩けが強く出るケースが世界中で報告されている。

顔脂肪吸引で「頬こけ」が起こる本当の理由

顔の脂肪は、単一の層ではなく、複数の脂肪パッド(fat compartment)が積み重なった立体構造をしています。表層から順に、①皮下脂肪、②SMAS(表在性筋膜系)、③深部脂肪(deep fat)、そして④独立した脂肪体であるバッカルファットという4つのレイヤーがあります。それぞれ役割が異なり、頬のふくらみや光の当たり方、加齢によるコケ方に個別に関与します。

「頬こけ」と一言でいっても、原因は必ずしも脂肪の量そのものではありません。20〜30代の患者様で頬こけが起こるケースの多くは、(1)浅すぎる層で皮下脂肪を過剰に吸引した、(2)本来触れるべきでない深部脂肪や頬深部組織まで巻き込んでしまった、(3)加齢による脂肪パッド萎縮の予測が不十分だった、のいずれかに該当します。単純な「吸いすぎ」ではなく、解剖学的な層の見誤りが本質的な原因になることが多いのです。

バッカルファット(頬脂肪体)と皮下脂肪の解剖学的な違い

バッカルファットは「独立した脂肪体」

バッカルファット(Buccal fat pad/頬脂肪体)は、頬骨弓の下、咬筋の内側にある独立した脂肪体で、頬粘膜側からアプローチできる位置にあります。皮下脂肪と違ってカニューレによる皮膚からの吸引ではアクセスできず、除去には口腔内切開が必要です。つまり、通常の顔脂肪吸引(皮下からのアプローチ)では、バッカルファットそのものは操作しません。

ただし、まれに強い牽引やカニューレの方向が不適切な場合、頬深部の脂肪組織にダメージが及ぶことがあります。特に痩せ型の方や顔面骨格が細い方は、皮下と深部の境界が薄いため、想定以上に深い層まで影響が出るリスクがあります。

皮下脂肪の位置と「取ってよい範囲」

一方、顔の皮下脂肪は皮膚直下からSMASの上まで存在し、フェイスラインのもたつきや二重顎、頬下のたるみに関与します。顔脂肪吸引で扱うのは基本的にこの皮下脂肪の層で、フェイスライン下・エラ下・頬骨の下縁エリアを中心に、ライン取りを意識してデザインします。深部脂肪はあくまで「保護すべき層」として温存するのが原則です。

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頬こけリスクを避ける顔脂肪吸引の設計

「取ってよいゾーン」と「残すべきゾーン」

顔の脂肪吸引で頬こけリスクを最小化するには、部位ごとに吸引可否を明確にする必要があります。取ってよいゾーンは、頬骨下三角部、エラ〜フェイスライン、顎下(サブメンタム)の3エリア。残すゾーンは、頬中央(マラーファット)、目の下、こめかみ、口角横のバッカルライン付近です。これらの残すゾーンは加齢とともに萎縮するため、20〜30代で削ってしまうと将来頬こけが目立ちます。

年齢別の適応判断

20代前半:皮下脂肪厚が十分でも、将来の萎縮を見越して控えめな量に留めるのが安全です。30代後半以降:既に頬中央の萎縮が始まっている可能性があるため、皮下脂肪の量とは別に「深部脂肪の残量」を触診・エコーで評価します。40代以降:脂肪吸引よりも、下垂した組織のリフト(切開・糸)を優先する方が結果が良いケースが多くあります。年齢と骨格、皮膚厚を総合的に見て設計するのが不可欠です。

バッカルファット除去は「気軽な施術」ではない理由

SNSでは「小顔=バッカルファット除去」の風潮がありますが、これは非可逆の施術です。頬脂肪体はいったん除去すると再生しません。20代で除去した方が40〜50代になった時、加齢に伴う中顔面のボリューム喪失と重なり、頬こけと老け顔が強調される事例が世界中の美容外科で報告されています。バッカルファットは若年期には「余分な脂肪」に見えても、将来的には「顔の立体感を支える基盤」となる組織です。美容外科の安全基準や適応判断については日本美容外科学会の情報も参考にしてください。

AVAN TOKYOの顔脂肪吸引デザイン方針

当院では、顔の脂肪吸引を「引き算だけの施術」ではなく、「フェイスラインの立体設計」として捉えます。バッカルファットの取り扱いも、患者様の年齢・骨格・皮膚厚・将来的な萎縮予測を総合評価した上で、必要最小限に留める方針です。単に量を取るのではなく、「10年後、20年後にも老けて見えない顔」を目指した設計を重視しています。他の顔の症例や関連トピックについては脂肪吸引の関連コラム一覧もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. バッカルファットは皮下脂肪吸引と同時に吸引されてしまいますか?

通常の顔脂肪吸引(皮下アプローチ)では、バッカルファットそのものはカニューレの届く層ではないため、直接的には吸引されません。ただし、深部への強い牽引や不適切なカニューレ操作で周辺組織にダメージが及ぶ可能性はあるため、術者の解剖学的理解と経験が結果を大きく左右します。

Q. 頬こけが起きた場合、脂肪注入で戻せますか?

皮下レベルの陥凹であれば、脂肪注入である程度改善できるケースがあります。ただしバッカルファットそのものの喪失は、注入脂肪では完全に再現できません。深部の空間に脂肪を安定的に生着させるのは技術的にも難しく、部分的な改善に留まることが多いのが現実です。

Q. 20代で顔の脂肪吸引を受けるのは早すぎますか?

骨格や皮下脂肪の状態にもよります。皮下脂肪が明らかに多く、フェイスラインのもたつきがある方は20代でも適応となります。ただし、将来の萎縮を見越して量を控えめに設計することが、頬こけリスクを避ける上で不可欠です。特にバッカルファット除去は20代では推奨されません。

Q. 頬骨下のくぼみと頬こけは同じですか?

異なります。頬骨下三角の適度なくぼみは「Ogeeライン」と呼ばれ、むしろ美的に好まれる立体感です。一方、頬中央(マラー領域)まで陥凹してしまう「頬こけ」は老け顔の印象を与えます。この違いを術前に見極めることが、顔脂肪吸引デザインの本質と言えます。


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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)

日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員

米国医師免許資格(ECFMG certificate)


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