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乳腺下ハイブリッド豊胸の多層脂肪注入|皮下と筋下を分ける根拠2026.09.07

「シリコンだけでは輪郭が硬く見えないか不安」「脂肪注入だけでは十分なボリュームが出ない」というご相談は少なくありません。当院では、そうした方に対して乳腺下ハイブリッド豊胸を提案する機会が増えています。シリコンインプラントを乳腺下に留置しつつ、その「上(皮下)」と「下(筋下)」に脂肪を分けて配置することで、シリコンの縁を目立たせず、触感と見た目のどちらも自然に近づける設計です。本記事では、30代女性で二の腕と副乳から脂肪を採取して行った一例を通じて、なぜ皮下と筋下という異なる層に脂肪を分けるのか、その医学的な根拠を執刀医の視点で解説します。

この記事の要点

乳腺下ハイブリッド豊胸とは、乳腺下にシリコンインプラントを留置し、その周囲の皮下(浅い層)と筋下(深い層)の両方に脂肪を分けて注入する術式のこと。
・皮下への注入はインプラント上縁の段差をぼかし、触感のなだらかさを担う。
・筋下への注入はインプラントの外周・下極を包み込み、輪郭のなだらかさとデコルテの丸みを担う。
・二の腕・副乳など複数部位から採取した脂肪を遠心処理で純度を高めてから注入する。
・生着率には個人差があり、内出血・腫れ・拘縮・左右差・しこり・感染などのリスクがある。

症例の概要 ― 30代女性・上半身デザインの一例

30代女性で、二の腕のシルエットを整えつつ、痩せ型でも自然にサイズアップしたいというご相談から、二の腕全周と副乳の脂肪吸引を組み合わせた乳腺下ハイブリッド豊胸を行った一例です。切開は腋窩から行い、インプラントは Motiva Mini シリーズ 275cc を左右対称に乳腺下へ留置。採取した脂肪は遠心処理を経て、左右それぞれ皮下・筋下の2層に分けて注入しました。二の腕を細くしながらデコルテのボリュームを増やす、上半身全体を一体でデザインする一例です。

この症例の治療内容・費用・リスク

■治療内容:乳腺下シリコンインプラント留置+皮下・筋下への多層脂肪注入、二の腕(全周)・副乳の脂肪吸引を同時施行。切開は腋窩。
■費用:ハイブリッド豊胸・二の腕脂肪吸引の各費用については料金ページをご確認ください。合計金額はカウンセリングで最終確定します。
■主なリスク・副作用:内出血・腫れ・痛み、被膜拘縮、左右差、脂肪の一部吸収によるボリューム変化、しこり(脂肪壊死・オイルシスト)、感染、皮膚感覚の一時的変化、瘢痕形成など。
■効果には個人差があり、写真は一例です。仕上がりを保証するものではありません。

症例写真

なぜ「皮下」と「筋下」に脂肪を分けるのか

シリコンインプラント単独では、決まった形と体積で胸のボリュームを作れる反面、痩せ型で軟部組織が薄い方はインプラントの上縁がくっきり浮きやすいという課題があります。特に上胸部・鎖骨下の段差、外側の輪郭が見えやすいラインは、シリコン単独では隠しきれません。

乳腺下ハイブリッド豊胸では、インプラントの「上(皮下)」と「下(筋下)」の両方に脂肪を配置し、インプラントを軟部組織で上下から包み込むように設計します。単に脂肪の総量を増やすのではなく、どの層に置くかを分けることで、それぞれの層に固有の役割を持たせられる点が最大の意義です。

皮下への注入が担う役割

皮下層への注入は、インプラントの上に薄い脂肪の「被覆」を作る目的があります。これによって鎖骨下の段差がぼかされ、触ったときの硬さも軽減されます。痩せ型でピンチテスト(皮膚をつまんだ厚み)が2cmを下回るような方では、皮下への注入がないとインプラントの輪郭が触知されやすくなるため、皮下配分を厚めに設計します。

ただし表層に大量に注入すると、生着しきれなかった脂肪が塊で残り、しこり(脂肪壊死・オイルシスト)のリスクが上がります。細いカニューレを用いて多方向・少量ずつ散布するように置くこと、そして密度を上げすぎないことが重要です。

筋下への注入が担う役割

筋下層(大胸筋の下)への注入は、インプラントの下極と外側輪郭を軟らかく整える役割を担います。深層は血流が比較的豊富で脂肪が生着しやすい一方、注入し過ぎるとインプラントの位置がずれる可能性があるため、外周を包み込むように少量ずつ配置します。デコルテの丸みや外側から谷間側へ抜けるラインは、この筋下への注入で作られることが多い部位です。

症例写真

脂肪の生着率を高めるための工夫

脂肪注入は「入れた量がそのまま残る」わけではありません。当院では吸引した脂肪をそのまま注入せず、遠心処理により余分な水分・血液成分・破損した脂肪細胞を取り除き、健常な脂肪細胞の比率を高めた「純化脂肪」として注入します。この一例でも、採取脂肪から約8割程度を注入用として精製しています。

注入時は、太いカニューレで一気に入れず、細いカニューレで多方向・多層に細く分けて配置します。これは、注入された脂肪細胞が周囲の毛細血管から酸素と栄養を受け取れる距離(数ミリ以内)に留まる必要があるためです。太い塊で注入された脂肪は中心部が壊死し、それがしこり形成の原因になります。層を分ける意義は、こうした「レシピエントベッド(受け手の血流環境)」を最大限に活用する点にもあります。

左右で注入量に差をつける判断

ハイブリッド豊胸を検討される方の多くは、実は術前から左右差があります。乳腺の厚み、鎖骨から乳頭までの距離、肋骨の突出具合など、左右対称ではないのがむしろ自然な体です。そのため、左右に同じ量の脂肪を注入することが必ずしも正解とは限りません。

この一例でも、あらかじめ小さい側にやや多めに、大きい側は控えめに配分し、術後の見た目の左右差を近づける設計としました。ただし脂肪の生着率は左右で異なる可能性があり、術後3〜6ヶ月の時点で改めて対称性を評価し、必要に応じて追加注入を検討します。乳腺下ハイブリッド豊胸は、1回で完成しないことを前提に長期的な設計を組む術式です。

術後の経過とダウンタイム

術直後は、二の腕・胸ともに強い腫れと内出血が出ます。当院では圧迫着(ボレロタイプ)でインプラントの位置ズレを防ぎつつ、脂肪注入部の死腔閉鎖を促します。強い痛みは概ね数日〜1週間で軽減しますが、突っ張り感や違和感は数週間続くことがあります。シリコン部分が体になじむ感覚が出てくるのは、概ね術後3ヶ月頃からです。脂肪注入部分は術後1〜3ヶ月かけて一部が体内に吸収され、最終的な仕上がりは6ヶ月頃を目安に判断します。

美容外科の安全基準については日本美容外科学会の情報も参考にしてください。関連する他の術式については脂肪吸引の関連コラム一覧もご参照ください。

よくある質問

Q. 乳腺下ハイブリッド豊胸は、脂肪注入だけの豊胸と何が違いますか?

脂肪注入だけの豊胸は、1回に安全に注入できる量に上限があるため、大きなサイズアップが難しい方がいます。乳腺下ハイブリッド豊胸ではシリコンインプラントで中央のボリュームを確保し、脂肪はその周囲の輪郭と触感を整える役割に集中させられるため、より安定したサイズアップと自然なシルエットを両立しやすくなります。

Q. 皮下と筋下、どちらに多く入れるかは決まっていますか?

決まった配分はなく、皮膚の厚み・乳腺量・インプラントのサイズ・元のデコルテのボリュームなどから個別に設計します。痩せ型でインプラントの上縁が浮きやすい方は皮下への配分を多めにする傾向がありますが、しこりのリスクを避けるため上限量には慎重に判断します。

Q. 注入した脂肪はどのくらい残りますか?

個人差が大きく一概には言えませんが、遠心処理と多層・少量注入を組み合わせた場合、6ヶ月時点で一定量が生着する傾向があります。喫煙・大幅な体重変動・体質などで生着率は変動するため、術前後の生活習慣も仕上がりに影響します。

Q. 二の腕から脂肪を採ることで、腕は細くなりますか?

豊胸に必要な量を確保するための吸引は、二の腕のシルエット改善としても十分な吸引量になることが多く、腕を細くする効果を同時に得られる方が多いです。ただし採取量は豊胸に必要な量を優先して決めるため、腕の仕上がりを最大化する場合は別途デザインを相談します。

Q. リスクや後戻りはありますか?

内出血・腫れ・被膜拘縮・感染・左右差・脂肪の一部吸収・しこりなどのリスクがあります。特に脂肪注入部の一部は体内に吸収されるため、術直後よりも数ヶ月後の方がボリュームが減って見えるのは正常な経過です。仕上がりは6ヶ月時点で評価します。

料金・症例写真・よくある質問は ハイブリッド豊胸の施術ページ をご覧ください。

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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)
日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員
米国医師免許資格(ECFMG certificate)
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