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Columnコラム

脂肪吸引後のシバリング(術後悪寒戦慄)はなぜ起こる?チュメセント液の温度管理と低体温リスクを医師が解説2026.08.02

脂肪吸引を受けた直後、手術室から回復室に戻る頃に「体が細かく震えて止まらない」「毛布を何枚重ねても寒い」と感じた経験を持つ方は少なくありません。この現象は医学的に「術後シバリング(悪寒戦慄/postoperative shivering)」と呼ばれ、脂肪吸引やハイブリッド豊胸のように広範囲の皮下組織を扱う手術では特に起こりやすいことが知られています。今回は脂肪吸引後シバリングがなぜ生じるのか、そしてAVAN TOKYO 銀座脂肪吸引クリニックがどのように体温管理を行い、この不快な症状を最小限に抑えているのかを、監修医師の視点から詳しく解説します。

この記事の要点

・脂肪吸引後シバリングは、術中の軽度低体温に対する視床下部の代償反応であり、震え自体は熱産生を目的とする生体防御反応です。

・大量のチュメセント麻酔液(1〜数リットル)が体温を奪う最大の要因で、加温していない液体を注入すると急速に深部体温が低下します。

・全身麻酔・静脈麻酔からの覚醒直後は体温調節が乱れやすく、外気温・輸液温度・手術時間・皮膚露出面積など複数の因子が重なると発生率が上がります。

・AVAN TOKYOでは加温チュメセント液・温風式加温装置・術中の連続体温モニタリングで低体温を予防しています。

・シバリング自体は多くの場合一過性で危険ではありませんが、酸素消費量が2〜5倍に増えるため、心疾患などの持病がある方には特別な配慮が必要です。

脂肪吸引後シバリングとは何か

シバリングとは、体温低下や麻酔覚醒に伴って生じる不随意な骨格筋の律動的収縮です。一般的な「寒気」よりも激しく、歯がガチガチと鳴るような震えが持続することもあります。脂肪吸引後シバリングは通常、手術終了から回復室に入って15〜60分の間に最も強く現れ、深部体温が34.5〜36.0℃程度まで下がっている場合に発生しやすくなります。

脂肪吸引 術後 悪寒戦慄 体温管理

震え自体は生体防御反応であり、筋収縮による熱産生で深部体温を戻そうとする自然な仕組みです。しかしその過程で酸素消費量は通常の2〜5倍にまで増加し、心拍出量や心臓の仕事量も上昇します。健康な若い女性であれば数十分で自然に治まりますが、この反応をどう抑えるかがダウンタイム初期の快適さを大きく左右します。

なぜチュメセント液で低体温になるのか

脂肪吸引で使うチュメセント麻酔液は、生理食塩水に希釈したリドカインとアドレナリンを混ぜたもので、部位や範囲によって1リットルから多いときは4〜5リットル注入されます。この液体を室温(20〜24℃)のまま注入すると、体内で加温するために大量のエネルギーが奪われ、深部体温は容易に1〜2℃低下します。

特に広範囲脂肪吸引(二の腕・お腹・太もも同時など)では注入液量が増えるため、加温対策なしでは軽度低体温がほぼ確実に起こります。これは決して術者の技術不足ではなく、体温維持を意識しない施設で共通に見られる問題です。加えて、皮膚露出面積が広いほど輻射熱と蒸散熱の損失が大きくなり、手術時間が長引くほど寒冷曝露も長くなります。

シバリングが起こる医学的メカニズム

視床下部の温度中枢は深部体温を約37℃に維持するよう設定されていますが、麻酔薬(プロポフォール、揮発性麻酔薬、オピオイド)は体温調節閾値の幅を広げ、体温低下に対する反応を鈍らせます。この状態で寒冷刺激が加わり続けると、麻酔から覚めた瞬間に閾値が正常に戻り、下がっていた体温との差を埋めようとして激しい筋収縮が始まります。

また、疼痛・興奮・カテコラミン放出も震えを増幅します。脂肪吸引後シバリングで歯が鳴るほどの強い震えが出る背景には、こうした複数の生理反応が同時に働いているという事情があります。決してご本人の体力や気合の問題ではなく、生理学的に自然な反応であることをまず理解してください。

AVAN TOKYOで行う脂肪吸引後シバリング予防の体温管理

AVAN TOKYOでは、脂肪吸引後シバリングを最小化するため以下の対策を組み合わせています。

第一に、チュメセント液を体温付近(37℃)に加温してから注入します。液体自体を温めておくことで、体内の熱で加温するエネルギーロスが激減します。第二に、術中は温風式加温ブランケット(Bair Hugger等)で皮膚表面から積極的に加温し、手術部位以外はブランケットで覆って輻射熱の損失を防ぎます。第三に、手術室の室温を通常より高め(24〜26℃)に保ち、術中と回復室で連続的に深部体温をモニタリングします。

術後にシバリングが出た場合は、追加の温風加温と加温輸液に加え、必要に応じて低用量のペチジン(メペリジン)を用いて震えを鎮めます。ペチジンはκオピオイド受容体を介してシバリング閾値を下げる作用が明確に示されており、他のオピオイドより震え抑制効果が強いことが知られています。美容外科の安全基準については日本美容外科学会の指針も参考になります。

患者側でできるシバリング予防と対処

手術前日は十分な睡眠と食事をとり、深部体温を維持しやすい体調で来院してください。当日の来院時に体が冷えていると、術前の時点で既に低体温気味となり、術後の震えが強くなります。特に冬季は暖かい服装で来院し、控室では温かい飲み物で内部から温めることも有効です。

術後に震えが出た際は、無理に力を入れて止めようとせず、深呼吸をゆっくり続けながらスタッフに伝えてください。多くの場合は加温対応で15〜30分以内に落ち着きます。震えのあいだは酸素消費が増えているため、脱水を招かないよう回復室での水分補給も大切です。同様のダウンタイム関連の解説は脂肪吸引の関連コラム一覧はこちらからご覧いただけます。

よくある質問

Q. 脂肪吸引後シバリングは危険な症状ですか?

健康な方であれば通常は一過性で危険ではありません。ただし酸素消費が2〜5倍に増えるため、心臓や呼吸器に持病がある方では負担となります。当院ではカウンセリング時に既往歴を確認し、リスクの高い方には術中の体温管理をより厳密に行います。個人差はありますが、多くのケースは30分以内に自然に治まります。

Q. なぜ広範囲脂肪吸引ほど震えが強くなるのですか?

注入するチュメセント液の量が増えるほど熱損失が大きくなり、深部体温が下がりやすくなるためです。二の腕・お腹・太ももを同時に施術する広範囲脂肪吸引では、加温チュメセントと温風加温を必ず併用し、深部体温が36℃を下回らないよう管理しています。

Q. シバリングを完全に予防することはできますか?

加温対策を徹底することで発生率と強さを大幅に下げることは可能ですが、麻酔から覚醒する過程で完全にゼロにするのは難しいのが現実です。当院では発生した場合の鎮静・加温プロトコルまで整えており、多くの方は短時間で快適な状態に戻られます。

Q. 家に帰ってからも震えが続くことはありますか?

通常、退室時には深部体温はほぼ回復しています。もし帰宅後に強い震えや38℃以上の発熱が続く場合は、感染や別の合併症の可能性もあるため必ずご連絡ください。単なる寒気と病的なシバリング・悪寒を見分ける上でも、経過報告は重要です。

Q. 局所麻酔だけの脂肪吸引でもシバリングは起こりますか?

全身麻酔よりは頻度が下がりますが、大量のチュメセント液を使う場合はやはり体温が下がるため起こり得ます。麻酔方法にかかわらず、加温対策は同様に重要であり、当院では局所麻酔症例でも同じ加温プロトコルを適用しています。

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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)

日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員

米国医師免許資格(ECFMG certificate)

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