腹部脂肪注入豊胸でウエストも整える|お腹全体を選ぶ理由を医師が解説2026.10.30
胸のボリュームを自然に増やしたい方の中には、「お腹まわりも一緒に整えたい」とご相談くださる方が少なくありません。腹部脂肪注入豊胸は、お腹の皮下脂肪を吸引し、採取した脂肪を胸に注入する方法で、胸とウエストのラインを同じ手術でデザインできる点が特長です。
先に結論
腹部脂肪注入豊胸のドナーにお腹全体を選ぶと、胸のボリュームとウエストのラインを同じ手術で整えやすく、採取量を確保しやすい点が利点です。段差予防のため上腹部・下腹部・側腹部を一続きで吸引し、脂肪の生着・仕上がりには個人差があります。
この記事では、この手術でお腹全体をドナー部位に選ぶ医学的な理由、採取量と注入量が一致しない理由、注入する層の設計、起こりうるリスクを、当院の症例とあわせて医師の視点で解説します。
腹部脂肪注入豊胸でお腹全体をドナー部位に選ぶ医学的な理由
結論として、胸のボリュームと同時にウエストラインも整えたい方には、ドナー部位にお腹全体を選ぶ設計が選択肢になります。上腹部・下腹部・側腹部を一つながりの範囲として扱うことで、採取量を確保しつつ、ドナー部に段差を作らずに整えやすくなるためです。
【脂肪注入豊胸のドナー部位の比較】
| 腹部(お腹全体) | 太もも全周 | 二の腕・背中 | |
|---|---|---|---|
| メリット | ・採取量を確保しやすい ・ウエストのくびれを作れる ・圧迫範囲を一枚でまとめやすい |
・採取量を確保しやすい ・硬めの脂肪で形を作りやすい ・下半身のラインも整う |
・上半身のシルエットを整えやすい ・肩や背中のラインも細くできる ・採取量は部位により限られる |
| デメリット | ・やせ型では採取量に限界 ・下腹部の段差予防に設計が必要 ・妊娠経験で皮膚がゆるんでいると拘縮が長引きやすい |
・圧迫範囲が広く負担が増える ・硬い脂肪は注入時の分散に調整が必要 |
・採取量が少なく大きなサイズアップは難しい ・左右差補正や形の微調整向き |
| 向いている人 | ・お腹のふくらみも取りたい方 ・ウエストも整えたい方 |
・下半身にボリュームが偏る方 ・太ももの張りが気になる方 |
・上半身のラインを整えたい方 ・腕まわりが太いと感じる方 |
理由① 広い範囲から脂肪を採取できる部位
腹部の皮下脂肪は体幹に広く分布しており、他の部位より一度の手術で確保できる脂肪の総量が多くなりやすい部位です。脂肪注入豊胸では、採取した脂肪を遠心分離や沈殿で水分・不要成分を取り除いてから使うため、注入に使える脂肪は採取量より少なくなります。胸のサイズアップに十分な量を確保するには、まとまった採取量が必要で、お腹はこの条件を満たしやすい部位です。
理由② 胸とウエストを同時にデザインできる
胸のボリュームを増やす一方でお腹のふくらみが残ると、全体のバランスが崩れて見えることがあります。この手術では、ドナー部位であるお腹自体も細くなるため、胸とウエストを同時に設計できる点が利点です。側腹部まで含めることで、正面から見たウエストのくびれ、横から見たウエストラインの両方を調整できます。
理由③ 傷が目立ちにくい位置に吸引孔を取れる
ドナー部の吸引孔は、鼠径部(足の付け根)とおへその中に設けます。鼠径部は下着のラインに隠れやすく、おへそは生理的な陥凹部で傷が目立ちにくい位置です。この吸引孔から前後左右にカニューレを進めることで、上腹部・下腹部・側腹部を一つのアクセスから吸引でき、傷の数を抑えつつお腹全体を均一に整えやすくなります。
当院の症例
お腹全体の脂肪で胸とウエストラインを整えた症例(20代 女性)
胸のボリュームをやわらかく自然に増やしたいというご希望と、お腹まわりのラインが気になるというご相談から、腹部脂肪注入豊胸をご提案した20代女性の一例を紹介します。術前のお腹は下腹部にふくらみが残り、側腹部にも脂肪が乗っていました。

手術では、お腹全体にチュメセント麻酔液を注入し、上腹部・下腹部・側腹部を一つながりの範囲として脂肪吸引を行いました。一部だけを吸引するとドナー部に段差が出やすくなるため、お腹を一枚のキャンバスとして扱い、部位ごとの脂肪の厚みに応じて吸引量を調整する考え方です。

採取した脂肪は低速で短時間の遠心分離にかけ、水分や麻酔液、不要な成分を取り除いた上で注入に使用しました。採取量に対し、注入に使える脂肪は約7割前後になることが多く、注入量と採取量が一致しないのはそのためです。

注入は、乳腺下・大胸筋下・皮下と層を分け、少量ずつ方向を変えながら細かく行いました。注入をひとかたまりにまとめると、脂肪壊死・硬結・石灰化の原因になることがあるため、層や方向を変えて分散させる設計を基本としています。

術前の胸の形と左右差を踏まえ、右と左の注入量を調整しています。左右差があるケースでは、同じ量を入れると差が残ってしまうため、注入量と層の配分を変える設計を行います。

術後6ヶ月の時点で、胸はやわらかさを保ちつつ自然なボリュームが得られ、お腹は下腹部のふくらみが落ち着き、正面から見たウエストのくびれと側腹部のラインも整っていました。

注入した脂肪は術後数ヶ月をかけて組織に馴染み、生着していきます。生着する脂肪の割合には個人差があり、注入量のすべてが残るわけではありません。

ドナー部であるお腹は、術後1ヶ月頃に拘縮と呼ばれる皮膚のつっぱり感と硬さがピークとなり、通常3ヶ月ほどで馴染みます。お腹の場合は半年ほど続くこともあります。

術後は体幹の圧迫着を24時間着用し、その後は腫れ・内出血が引くまで、在宅時や就寝時など可能な範囲で着用を続けていただきました。

| 施術名 | 脂肪注入豊胸(お腹全体からの脂肪採取) |
|---|---|
| 施術内容 | 上腹部・下腹部・側腹部からの脂肪吸引で得られた脂肪を遠心分離し、乳腺下・大胸筋下・皮下に層を分けて注入 |
| 写真の時期 | 術後6ヶ月 |
| 費用 | 費用は料金ページをご確認ください(最終金額はカウンセリングで確定) |
| 主なリスク・副作用 | 内出血・腫れ・拘縮・硬結・しこり・石灰化・左右差・ドナー部の段差・感染など |
効果には個人差があり、写真は一例です。
胸に注入できる脂肪の量はどう決まる?
採取量ではなく「注入可能量」で決まる
胸に注入できる脂肪の量は、吸引で採取した量そのものではなく、採取した脂肪から水分・麻酔液・遊離脂肪酸などを取り除いた「注入可能量」で決まります。採取量の約7割前後が目安ですが、ご体型や皮下脂肪の性状により変動します。
注入量は左右で同じにするとは限りません。術前の胸の大きさ・形・左右差を踏まえて、両胸合計の注入量を決めてから、片側ずつの配分を調整する流れです。
注入した脂肪はしこりになりますか?
層を分けた少量分散注入で予防する
注入した脂肪の一部は、血流が十分に届かないと生着せず吸収されますが、一ヵ所にまとめて多量に注入した場合、脂肪壊死・硬結・石灰化が起こり、しこりの原因になることがあります。
これを避けるため、乳腺下・大胸筋下・皮下と層を分け、方向を変えながら少量ずつ注入することで、一ヵ所に脂肪が集中しないよう設計します。術前に乳腺のしこりや嚢胞がないかを確認し、術後も定期的に経過を観察することが大切です。
起こりうるリスク・合併症と予防策は?
内出血・硬結・左右差・ドナー部の段差
この手術では、ドナー部(お腹)と注入部(胸)の両方にリスクがあります。ドナー部では、内出血・腫れ・拘縮・左右差・段差・感染が主なリスクです。注入部では、硬結・しこり・石灰化・感染・左右差・脂肪の生着不良があります。
段差の予防には、お腹全体を一つの範囲として設計し、部位ごとの脂肪の厚みに合わせて吸引量を調整することが重要です。しこりの予防には、層を分けて少量ずつ分散させる手技が基本となります。美容外科の安全基準については日本美容外科学会の情報も参考にしてください。
ダウンタイムはどのくらいですか?
痛み2〜3日・腫れ2〜3週間・拘縮3ヶ月が目安
痛みは術後2〜3日がピークで、10日ほどで落ち着いていきます。腫れ・内出血は2〜3週間かけて軽くなります。お腹の拘縮は術後1ヶ月頃がピークで、通常3ヶ月ほどで馴染みますが、お腹の場合は半年ほど続くこともあります。
シャワーは翌日から可能、湯船・サウナ・プール・海・温泉・激しい運動(ジム・ランニング)は術後2週間から再開していただきます。圧迫着は体を1週間・24時間着用し、その後は腫れが引くまで可能な範囲で着用を続けます。経過には個人差があり、診察のうえでご案内します。
腹部脂肪注入豊胸は「お腹全体の設計」から始まる
腹部脂肪注入豊胸は、お腹の皮下脂肪を使って胸のボリュームを増やす方法で、やわらかさや自然さを重視する方に選ばれています。この手術の鍵は、お腹全体をどのように採取範囲として設計するか、採取した脂肪をどの層にどのように注入するか、という2つの設計にあります。
一部だけを吸引すればドナー部の段差につながり、ひとかたまりに注入すればしこりの原因となります。胸とウエストを同時にデザインするには、上腹部・下腹部・側腹部を一つながりの範囲として扱い、乳腺下・大胸筋下・皮下に層を分けて少量ずつ分散注入する設計が基本です。
仕上がりや脂肪の生着の程度には個人差があります。まずはカウンセリングで、ご自身の体型・胸の形・お腹の脂肪の状態を見極めたうえで、適した方法をご相談ください。脂肪吸引・脂肪注入豊胸の関連コラム一覧はこちら。
よくある質問
- 遠心分離をすると脂肪が減ってしまうのではないですか?
-
減るのは、水分・麻酔液・遊離脂肪酸など「生着に使えない成分」です。これらを取り除くことで、血流が届きやすく、硬結や石灰化の原因になりにくい脂肪に整えてから注入します。遠心分離は低速で短時間行うことで、脂肪細胞へのダメージを抑えつつ、注入に使いやすい脂肪を得るための処理です。
- やせ型でも腹部脂肪注入豊胸は可能ですか?
-
可能な場合もありますが、採取量に限界があるため、胸に注入できる量も限られます。やせ型で採取可能量が少ない場合には、ドナー部位を他部位に広げる、あるいは注入豊胸ではなくシリコンバッグを併用するハイブリッド豊胸を検討することもあります。診察で脂肪量を確認したうえでご案内します。
- お腹の圧迫着はいつまで着けますか?
-
当院では、体幹の圧迫着を術後1週間・24時間着用いただき、その後は腫れ・内出血が引くまで、在宅時や就寝時など可能な範囲で着用を続けていただくことをおすすめしています。拘縮期に圧迫を続けることで、お腹のラインが整いやすくなります。
- 妊娠・授乳への影響はありますか?
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脂肪注入豊胸は乳腺や乳管を直接切除する手術ではありません。ただし、注入する層や量によっては、画像検査(マンモグラフィ・エコー)で脂肪壊死による石灰化が映ることがあるため、健診時には脂肪注入豊胸を受けた既往があることをお伝えいただくと安心です。
- 当院ではどのような機器を使いますか?
-
当院では通常の脂肪吸引機を使用し、脂肪をやわらかくして吸引する必要があると判断した場合に、ご希望に応じて超音波機器(エルサ/LSSA)を併用します。常勤の麻酔科医はいませんが、ご希望の場合は提携の麻酔科専門医の立ち会いが可能です。
料金・症例写真・よくある質問は お腹・腰の脂肪吸引の施術ページ/脂肪豊胸の施術ページ をご覧ください。
この記事を監修した医師
森脇 進
AVAN TOKYO 銀座脂肪吸引クリニック 院長
徳島大学医学部卒。徳島大学附属病院、東京中央美容外科、Gracia クリニックを経て現職。脂肪吸引の累計執刀5,000件以上(前職を含む)。
日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員 / ECFMG Certificate 取得
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