二の腕全周脂肪吸引の吸引孔6ヶ所|前脇・肘・後脇の配置設計を医師が解説2026.09.26
二の腕を細く、そして全周にわたって滑らかに整えるには、皮下脂肪の分布と円柱状の立体構造に合わせて、複数の入口(吸引孔)から立体的にアプローチする必要があります。今回は20代女性の症例をもとに、二の腕全周脂肪吸引で前脇・肘・後脇の6ヶ所に吸引孔を設ける医学的な理由と、それぞれの役割・術中の判断について、監修医の森脇進が解説します。
この記事の要点
・二の腕全周脂肪吸引では、前脇・肘・後脇に片腕3ヶ所ずつ、合計6ヶ所の吸引孔を配置するのが基本です。
・カニューレの到達範囲は入口を頂点とした扇形に限られるため、複数方向から重ねて吸引することで盲点と条痕(グルーヴ)を防ぎます。
・後面の「振袖」ゾーンは皮下脂肪が厚く線維性が強いため、細径カニューレを2本並列で使うバイニードル法が有効なことがあります。
・腫れ・内出血のピークは術後1〜2週目、拘縮期は3週目以降に始まり、最終的なラインは3〜6ヶ月で完成します(個人差あり)。
・掲載写真は一例であり、効果・経過には個人差があります。
症例の概要
20代女性、二の腕を直線的に細く見せたいというご希望で二の腕全周脂肪吸引を行いました。前面・側面・後面のバランスを見ながら、後面の振袖ゾーンにはバイニードル法で反復操作を行い、皮膚直下の微細な凹凸が出ないように処理しています。細身体型の方に対する典型的なデザインの一例です。

この症例の治療内容・費用・リスク
■ 治療内容:二の腕全周皮下脂肪吸引(バイニードル併用)
■ 費用:費用は料金ページをご確認ください。最終的な合計金額はカウンセリングで確定します。
■ 主なリスク・副作用:内出血、腫れ、拘縮による皮膚の硬さ、皮膚のひきつれ、左右差、感染、色素沈着、稀に神経障害(しびれ)や皮膚の凹凸。
■ 効果には個人差があり、掲載写真は一例です。
なぜ二の腕全周脂肪吸引では6ヶ所の吸引孔が必要なのか
カニューレ(吸引用の細い金属管)は直線的にしか進めません。1つの吸引孔から到達できる範囲は、その入口を頂点とした扇形に限定されます。二の腕は腋窩から肘まで概ね20〜25cmの長さを持つ円柱状の立体で、前面(上腕二頭筋側)・側面(上腕外側)・後面(上腕三頭筋側)で脂肪の厚みも走行方向も大きく異なります。
もし1〜2ヶ所の吸引孔だけで全周を処理しようとすると、カニューレが届かない盲点が必ず生じます。また、同じ方向のストロークばかりを繰り返すことになるため、皮膚直下に条痕と呼ばれる線状の凹凸が残りやすくなります。二の腕全周脂肪吸引では、このリスクを避けるために片腕あたり3ヶ所、両腕で合計6ヶ所の吸引孔を戦略的に配置します。
前脇・肘・後脇 ― それぞれの役割
前脇(前腋窩の起点):二の腕前面の脂肪と、脇前方の副乳ゾーンから連続する脂肪帯にアクセスする入口です。三角筋の下縁から上腕二頭筋の外側縁にかけてのライン形成を担います。腋窩の自然なシワに沿って配置するため、傷跡は治癒過程で目立ちにくくなります。
肘部(肘の内側折れ目付近):二の腕の遠位側(肘寄り)、特に内側〜前内側の脂肪にアプローチする入口です。前脇と反対方向から入ることで、前脇単独では届かない末梢の盲点を埋めます。肘の折れ目のシワに配置することで傷跡が目立ちにくくなります。
後脇(後腋窩の起点):いわゆる「振袖」ゾーンの主戦場となる入口です。上腕三頭筋直上の厚い脂肪帯に対して、長軸方向のストロークを重ねます。前脇と後脇の両方から挟み込むように吸引することで、二の腕側面の帯状の膨らみをフラットに整えていきます。
これら6ヶ所を組み合わせることで、二の腕の任意の1点に対して2〜3方向からカニューレが到達し、クロスハッチング(格子状の吸引)が成立します。これは均一な脂肪除去と、術後の皮膚リドレープ(皮膚が新しい輪郭に沿って落ち着くプロセス)に直結します。

振袖ゾーンとバイニードル法の考え方
二の腕の後面、いわゆる振袖ゾーンは、上腕三頭筋の直上に厚い皮下脂肪層があり、線維隔壁(脂肪を仕切る繊維の壁)が他の部位より発達しているため、脂肪が硬く感じられることが多い部位です。この領域を一気に太径カニューレで掃引すると、線維隔壁が不均一に切れて凹凸が残るリスクがあります。
バイニードル法は、細径のカニューレを2本並列で用いる方法です。狭い範囲を、細いパスで、方向を変えながら丁寧に均一処理していく方針で、皮膚直下の微細な凹凸を防ぎやすくなります。二の腕全周脂肪吸引の中でも、後面の仕上げに用いることでラインの繊細さが変わってきます。ただし浅層への操作が多くなるため、皮膚厚・弾力・線維量を診た上で適応を判断します。
術中に何を見て判断しているか
術中の判断で最も重要なのはピンチテスト(皮膚をつまんで残厚を確認する操作)です。全周を吸引する場合、前面を取りすぎると腕が「痩せて骨っぽく」見え、後面を残しすぎると振袖感が残る、というトレードオフがあります。前面と後面のバランスを、繰り返しピンチテストで確認しながら決めていきます。
また、左右差を防ぐために、左右の腕で吸引孔の位置・方向・ストローク数を可能な限り揃えます。左右で同じ順序・同じ手順で吸引することで、術者側の疲労や集中力の偏りによる非対称も避けられます。
術後の圧迫と経過
術後は二の腕専用の圧迫着を装用します。目安として、術後1週間は終日、その後2〜3週間は日中を中心に装用します。圧迫は、吸引によって空いた層(死腔)を閉じ、皮膚を新しい輪郭に沿わせるために必要な工程で、仕上がりのラインを大きく左右します。
腫れと内出血のピークは術後1〜2週目、その後3週目以降に「拘縮期」と呼ばれる時期に入り、皮膚がゴワゴワと硬く感じられるようになります。これは治癒過程の正常な反応で、二の腕全周脂肪吸引を含む脂肪吸引全般で必ず起こります。最終的なラインの完成は3〜6ヶ月後で、個人差があります。
美容外科の安全基準については日本美容外科学会の情報を参照してください。より詳しい情報は脂肪吸引の関連コラム一覧もご覧ください。
よくある質問
Q. 吸引孔6ヶ所の傷跡は目立ちますか?
各吸引孔は2〜3mm程度の点状の切開で、腋窩と肘のシワに沿って配置します。半年〜1年で白い点状の瘢痕に成熟し、意識して見なければ気付きにくい程度になることが多いです。ただしケロイド体質・肥厚性瘢痕体質・色素沈着の傾向がある方は個人差があります。
Q. 前面だけの部分吸引ではダメですか?
二の腕は前面・側面・後面で脂肪の厚みが異なるため、部分だけを吸引すると吸引部と非吸引部の境界に段差が出やすくなります。周径として全体を細く整えたい場合は、全周アプローチが基本です。
Q. 圧迫着はいつまで着ますか?
目安は1ヶ月間の日中装用、就寝時は3週間程度です。腫れ・拘縮の経過に応じて調整します。強すぎる圧迫は皮膚炎の原因にもなるため、適切な圧の圧迫着を選ぶことも大切です。
Q. 振袖ゾーンだけを重点的に吸引することはできますか?
技術的には可能ですが、他部位とのつながりが不自然になり境界に段差が出るリスクがあります。当院では基本的に全周デザインで整えることをおすすめしています。
Q. どのくらいの量を吸引しますか?
患者様の元の脂肪量、ご希望、皮膚の伸縮性によって適正量は異なります。二の腕全周では概ね200〜500mLの範囲になることが多いですが、量そのものよりも「どこを残し、どこを取るか」の設計が仕上がりを決めます。
料金・症例写真・よくある質問は 二の腕の脂肪吸引の施術ページ をご覧ください。
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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)
日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員
米国医師免許資格(ECFMG certificate)
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