腰が痛いのに画像は「異常なし」と言われた人へ──椎間関節症の見立てと幹細胞培養上清液の関節注射という選択肢を森脇医師が解説2026.07.12
「腰が痛いのに整形外科でレントゲンを撮っても『異常なし』と言われた」——そんな経験をお持ちの方は少なくありません。中でも見逃されやすい原因のひとつが椎間関節症です。腰椎の後方にある小さな関節に生じる炎症や変性が慢性腰痛の背景にあるとき、通常のレントゲンや初期のMRIでは明確な所見として写らないことがあります。AVAN TOKYO 銀座 再生医療の森脇医師の視点から、椎間関節症をどう見立て、幹細胞培養上清液の関節注射という選択肢をどう位置づけるかを整理します。
この記事の要点
・椎間関節症は腰椎の後方にある小さな関節の炎症・変性で、画像で写らないことがあり見落とされやすい
・特徴は腰の反り返しや同側側屈で痛みが増強するパターンと、傍脊柱の関節突起への限局した圧痛
・診断の中心は問診・診察と、必要に応じた選択的椎間関節ブロックによる反応の確認
・幹細胞培養上清液の関節注射は炎症環境への働きかけを狙う保存療法の一選択肢だが、効果保証はできない
・下肢のしびれ・排尿障害・進行する筋力低下があるときは整形外科での再評価が最優先
「画像で異常なし」と言われる腰痛の背景にある椎間関節症
腰椎は椎体・椎間板、そして後方の椎間関節という3点で支え合う立体構造をしています。椎間関節は左右一対の滑膜性関節で、腰椎の可動域と安定性を担う小さな関節です。この関節にも軟骨があり、関節包に包まれ、滑膜が存在します。つまり膝や肩と同じ「関節」であり、変性や炎症の対象になります。
なぜ画像に写りにくいのか
初期段階の変化は、単純X線での骨棘や関節裂隙の狭小化がまだ明瞭ではないことがあります。MRIも撮影条件や読影の観点によっては、関節包の炎症や軟骨変性が「異常」と記載されないことがあります。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症のような大きな構造異常が同時に存在しない場合、「画像上は年齢相応」とされ、患者さんは「異常がないのに痛い」というジレンマを抱えます。
典型的な痛みの出方
椎間関節症を疑う手がかりは、痛みが動きに強く依存することです。腰を後ろに反らせる動作や同じ側への側屈で腰痛が誘発・増強される、朝の起床時に強い固さを感じ動くうちにやや軽くなる、長時間の立位や歩行で悪化する——こうした特徴は関節性疼痛らしさを示唆する所見です。傍脊柱の関節突起の高さを押すと限局的な圧痛が再現されることもあります。

「画像異常なし」の腰痛から関節性の痛みを見つける診察の順序
画像に頼りすぎず、問診と診察で痛みの由来を組み立てる姿勢が要になります。
神経性の痛みと切り分ける
下肢に放散するしびれや電撃痛が強い場合は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった神経由来の疾患をまず検討します。坐骨神経痛のように臀部から下肢にかけて広がる痛みは、関節そのものより神経根や馬尾への圧迫が主体であることが多く、関節注射で狙える病態とは分けて考える必要があります。
診断的ブロックという方法
臨床的に椎間関節性が疑わしいとき、少量の局所麻酔薬を椎間関節や関節枝神経に投与する選択的ブロックで痛みの反応を確かめる方法があります。打った直後に痛みが軽くなるならば、その関節が痛みの主因である可能性が高まります。関節疾患の情報については日本整形外科学会の情報も参照しつつ、まず「関節の痛みかどうか」を確かめることが治療設計の出発点になります。
椎間関節症に対する幹細胞培養上清液の関節注射という選択肢
見立てがついたとき、保存療法の一つとして幹細胞培養上清液の関節注射が候補になります。
狙うのは「炎症環境」への働きかけ
幹細胞培養上清液には、TGF-β・IGF-1・FGFなど複数の成長因子や抗炎症性サイトカインが含まれると報告されています。慢性の関節痛には滑膜炎や関節包の慢性炎症が関与するため、こうした炎症サイクルに対してタンパク質群が働きかけ、局所の環境を穏やかにするアプローチが期待されます。ただし「軟骨そのものが元通りに再生する」わけではありません。あくまで痛みの発生源となっている炎症環境に働きかける保存療法の位置づけです。
効果と限界の両方を正直に
反応の出方には個人差があり、数週から数か月かけて痛みの変化を追う必要があります。効果判定は疼痛スコア・可動域・日常動作で客観的に行い、乏しい場合は継続・変更・整形外科的な再評価に切り替えます。運動療法や体幹の安定化トレーニング、姿勢・生活動作の見直しといった土台なしに注射だけで完結する治療ではありません。幹細胞培養上清液の関節注射について詳しくはこちらで治療の枠組みをご確認いただけます。
「向かない人」もいる
進行する下肢のしびれや筋力低下、排尿・排便障害を伴う腰痛は馬尾症候群など緊急を要する状態の可能性があり、整形外科での画像再評価と専門的介入を優先します。活動性の感染、コントロール不良の全身疾患、抗凝固薬の使用状況によっても慎重な判断が必要です。誰にでも第一選択となる治療ではないことを、初診の段階でお伝えしています。
よくある質問
Q. 画像で異常がないと言われましたが、本当に椎間関節症なのですか?
画像所見と痛みの原因は必ずしも一致しません。この病態は初期変化が画像で捉えにくく、問診・診察・診断的ブロックへの反応で総合的に判断します。ご自身の痛みの動きに対する再現性を丁寧に確認することが大切です。
Q. 幹細胞培養上清液の関節注射で椎間関節症は完治しますか?
完治を保証する治療ではありません。関節周囲の炎症環境に働きかけることを狙う保存療法の一つです。反応には個人差があり、運動療法や生活習慣の見直しと組み合わせて総合的に管理する姿勢が現実的です。
Q. 効果はどのくらいの期間で判定しますか?
数週から数か月の経過で疼痛・可動域・日常動作の変化を追います。反応が乏しい場合は継続・変更・整形外科的な再評価へと切り替えます。
Q. 他の治療とはどう使い分けますか?
運動療法・薬物療法・神経ブロックといった既存の保存療法が土台になります。ステロイド局所注射やヒアルロン酸とは目的や作用の考え方が異なるため、状態に応じて併用や順序を検討します。
Q. 注射を避けたほうがよい状態はありますか?
下肢のしびれや筋力低下が進行している、排尿・排便障害がある、発熱や感染兆候があるときは、注射を先延ばしにして整形外科での再評価を優先します。
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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)
日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員
米国医師免許資格(ECFMG certificate)
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