コラム

頭皮マイクロバイオームと薄毛──頭皮常在菌の乱れが毛包に与える影響と幹細胞培養上清液という選択2026.06.11

「シャンプーを変えても頭皮のかゆみが治まらない」「フケが続いて抜け毛も気になる」——そのような頭皮トラブルの背景に、頭皮マイクロバイオーム(頭皮常在菌叢)の乱れが関わっている可能性があります。

近年、腸内フローラと同じように、頭皮にも多種多様な常在菌が住み着いており、そのバランスが髪の健やかさを大きく左右することが分かってきました。

皮脂や汗、温度、洗髪習慣などのわずかな変化で常在菌のバランスは崩れ、慢性的な炎症や毛包機能の低下を招きます。AVAN TOKYOではこの「頭皮マイクロバイオーム」という新しい視点から、幹細胞培養上清液を用いた頭皮環境の再設計を行っています。

頭皮マイクロバイオームとは何か

頭皮には、皮膚常在菌として表皮ブドウ球菌、アクネ菌(Cutibacterium acnes)、マラセチア(Malassezia)などが共生しています。これらの菌は本来、互いに勢力をけん制しながら、外部からの病原菌の侵入を防ぎ、皮脂分解物を介して弱酸性の頭皮環境を維持する役割を担っています。

健康な頭皮の常在菌バランス

健康な頭皮では、複数の菌種が共存し、いわば「多様性のある森」のような状態を保っています。多様性が高いほど特定の菌の暴走が抑えられ、頭皮の炎症が起こりにくくなることが報告されています。

一方、シャンプーのしすぎ・洗わなさすぎ、ストレス、睡眠不足、食生活の偏りなどによって、この多様性が失われると、特定の菌が異常に増殖し、頭皮環境は一気に崩れます。

マラセチアの過剰増殖が引き起こす炎症

特に重要なのが、マラセチアという真菌の存在です。マラセチアは皮脂を栄養として増殖し、その代謝産物が頭皮を刺激することで、脂漏性皮膚炎やフケ、かゆみ、慢性的な微小炎症を引き起こします。

慢性炎症は毛包幹細胞の働きを鈍らせ、毛包のミニチュア化(毛が細くなる現象)を加速させることが分かっています。つまり、頭皮マイクロバイオームの乱れは、単なる「頭皮トラブル」ではなく、薄毛の根本原因の一つとして位置づけられているのです。

scalp microbiome hair follicle regeneration

頭皮マイクロバイオームの乱れが薄毛を進行させるメカニズム

頭皮常在菌のバランスが崩れると、頭皮では「ディスバイオシス(菌叢の乱れ)」と呼ばれる状態が発生します。これが慢性的な微小炎症を引き起こし、毛包の働きを徐々に低下させていきます。

微小炎症(マイクロインフラメーション)と毛包

頭皮の微小炎症は、肉眼ではほとんど確認できないほど軽度のものでも、毛包周囲の血流低下や酸化ストレスを増加させ、毛包幹細胞のニッチ(幹細胞が住む環境)を傷つけます。

AGA治療の指針については日本皮膚科学会のガイドラインでも、頭皮の慢性炎症と脱毛との関連が言及されており、頭皮環境の正常化が治療の前提となることが示されています。

バリア機能の低下と外部刺激の悪循環

常在菌の多様性が失われると、頭皮の角層バリア機能も低下します。バリアが弱まると、シャンプー成分・紫外線・大気汚染物質などの外部刺激が真皮層に到達しやすくなり、さらなる炎症を生む悪循環に入ります。この負のループを断ち切ることが、毛髪再生医療における重要な戦略です。

幹細胞培養上清液が頭皮マイクロバイオーム改善に果たす役割

幹細胞培養上清液は、間葉系幹細胞を培養した際に分泌される、成長因子・サイトカイン・エクソソームなどを豊富に含む液体です。AVAN TOKYOでは、この上清液を頭皮の微小炎症と幹細胞ニッチの再構築に活用しています。

抗炎症作用による頭皮環境のリセット

上清液に含まれるTGF-β、IL-10などの抗炎症性サイトカインは、頭皮の慢性炎症を鎮静化し、ディスバイオシス状態からの回復を促します。炎症が引くことで皮脂分泌が正常化し、結果としてマラセチアの過剰増殖も抑制され、自然な菌叢バランスが取り戻されやすくなります。

毛包幹細胞ニッチの再構築

VEGF・FGF・IGF-1などの成長因子は、毛包周囲の血管新生と幹細胞活性化に寄与し、休止期の毛包を成長期へと押し戻す力を持ちます。さらにMorpheus8によるドラッグデリバリーを組み合わせれば、頭皮の深層にまで上清液を届けることが可能となり、頭皮環境の改善と発毛促進を同時に狙う設計が可能です。

ホームケアと組み合わせる視点

クリニックでの上清液治療と並行して、洗いすぎないシャンプー習慣、過度な熱風を避けるドライ方法、十分な睡眠と栄養を整えることで、頭皮環境の再構築はより安定します。詳しくは毛髪再生医療の関連コラム一覧はこちらもご覧ください。

まとめ

頭皮マイクロバイオームの乱れは、フケやかゆみといった表面的なトラブルにとどまらず、慢性的な微小炎症を介して薄毛を進行させる重要な要因です。シャンプーや育毛剤の選び直しだけでは解決しないこのバランスの乱れに対し、幹細胞培養上清液による頭皮環境のリセットと毛包幹細胞ニッチの再構築は、極めて理にかなったアプローチと言えます。

「髪が細くなってきた」「頭皮のかゆみが続く」と感じている方は、ぜひ一度、頭皮環境そのものを見直すカウンセリングを受けてみてください。

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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)

日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員

米国医師免許資格(ECFMG certificate)

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