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Columnコラム

皮下脂肪と内臓脂肪はどう違う?脂肪吸引が皮下脂肪にしか効かない医学的理由を森脇医師が解説2026.07.28

「お腹の脂肪が気になるので手術を受けたい」というご相談は非常に多いのですが、実は皮下脂肪吸引で取り除けるのは皮下脂肪だけで、内臓脂肪は対象にはなりません。この違いを正しく理解しないまま手術を選ぶと、「思ったほどウエストが細くならなかった」という結果になりかねません。本コラムでは、皮下脂肪と内臓脂肪の解剖学的な違いから、皮下脂肪吸引の適応、内臓脂肪の減らし方まで、AVAN TOKYOの森脇医師が医学的に解説します。

この記事の要点

・皮下脂肪は皮膚の直下に、内臓脂肪は腹膜の内側に存在し、解剖学的にまったく別の場所にある

・脂肪吸引はカニューレを腹膜の外側で操作するため、内臓脂肪には物理的にアクセスできない

・内臓脂肪型肥満は食事・運動・薬物療法での改善が第一選択で、外科的アプローチの適応は極めて限定的

・つまむと厚みがあるお腹は皮下脂肪型で吸引の良い適応、硬く張り出したお腹は内臓脂肪型で対象外

・脂肪吸引は脂肪細胞そのものを除去するため、内臓脂肪と違ってリバウンドしにくい

皮下脂肪と内臓脂肪の解剖学的な違い

ヒトの体脂肪は大きく分けて「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の2種類があります。皮下脂肪は皮膚のすぐ下、いわゆる皮下組織の中に存在する脂肪で、指でつまむことができる層です。一方の内臓脂肪は、腹壁の内側、腹膜の奥にある腸間膜や大網(だいもう)などにびっしりと蓄積する脂肪で、外からは絶対に触れることができません。

両者を隔てているのが、腹直筋やその筋膜(腹直筋鞘)といった腹壁の構造です。皮下脂肪は腹壁の「外側」、内臓脂肪は腹壁の「内側」にあり、この境界は明確に分かれています。脂肪吸引でカニューレを挿入する層は腹直筋筋膜より外側の皮下組織であり、腹腔内に器具を通すことは絶対にありません。これが「脂肪吸引で取れるのは皮下脂肪だけ」という医学的な理由です。

脂肪吸引が内臓脂肪に届かない構造的な理由

脂肪吸引で使用するカニューレは、通常直径2〜4mm程度の金属製の管で、皮膚に小さな吸引孔を作り、皮下組織内を扇状に往復させて脂肪細胞を破砕・吸引します。安全な脂肪吸引は必ず「腹直筋筋膜より浅い層」で行われるため、その奥にある内臓脂肪には物理的にアクセスできない構造になっています。

もし仮に筋膜を越えて腹腔内にカニューレを進めれば、腸管穿孔・腹腔内出血・腹膜炎といった生命に関わる合併症を引き起こします。国際的にも内臓脂肪の吸引は絶対の禁忌とされており、腹膜を越えた操作は「事故」に分類されるものです。したがって、内臓脂肪を減らしたい方に対する第一選択は外科ではなく、生活習慣改善と内科的アプローチとなります。

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ご自身が皮下脂肪型か内臓脂肪型か見分ける方法

脂肪吸引の適応があるかを見極める最もシンプルな方法は「ピンチテスト」です。仰向けに寝てお腹の力を抜き、へその横あたりの皮膚を指でつまんでみます。2cm以上の厚みがあれば皮下脂肪型で、吸引の良い適応と考えられます。逆に、つまめる皮下脂肪は薄いのにお腹自体は前に張り出している場合、それは内臓脂肪が主体の可能性が高く、吸引の対象にはなりません。

ウエスト周囲径や体組成計での内臓脂肪面積、腹部CTで測定するL4レベルの内臓脂肪断面積などが医学的な指標として用いられますが、日常のカウンセリングでは触診とピンチテストで大まかな型を判定します。特に男性は内臓脂肪型肥満が多く、腹部の脂肪吸引だけではウエストが期待通り細くならないケースがあるため、術前評価が非常に重要です。

内臓脂肪を減らすためにできること

内臓脂肪は生活習慣の影響を強く受ける脂肪で、カロリー制限と有酸素運動によって皮下脂肪より速く減少することが知られています。目安として、体重の5〜7%を6ヶ月かけて減量するだけで内臓脂肪面積が有意に低下すると多くの研究で報告されており、糖尿病や脂質異常症の改善にもつながります。

近年はGLP-1受容体作動薬などの薬物療法も選択肢に入りますが、医師の管理下で持病や副作用を評価した上で導入すべきものです。脂肪吸引を検討している方で、明らかに内臓脂肪が優位な体型の場合は、まず内科的なアプローチで内臓脂肪を落としてから、残った皮下脂肪に対して吸引を行う二段階戦略が結果的に美しい仕上がりにつながります。

脂肪吸引がリバウンドしにくい理由

脂肪吸引の大きな特徴は、脂肪細胞そのものを物理的に取り除く点にあります。ダイエットや内臓脂肪の減少は「脂肪細胞の大きさ」を小さくするだけで、細胞数は変わりません。一方で脂肪吸引は「脂肪細胞の数」を減らすため、その部位に再び脂肪がつきにくくなります。

ただし、これは吸引した部位に限った話で、吸引していない部位(内臓脂肪や他のドナー部位)には従来通り脂肪がつくため、術後も生活習慣管理は必要です。特に内臓脂肪型の傾向がある方は、術後もウエストの張り出しが再発する可能性があるため、食事・運動指導を並行することをおすすめしています。美容外科の安全基準については日本美容外科学会の情報も参照ください。

皮下脂肪吸引を検討する前に知っておきたい適応判断

良い適応は、「若く皮膚の弾力が保たれている」「BMIが標準〜やや上程度」「ピンチテストで2cm以上の皮下脂肪がある」「内臓脂肪が優位ではない」といった条件を満たす方です。極端に高いBMIの方や、皮下脂肪より内臓脂肪が優位な方は、まず減量を優先することで安全性と仕上がりの両方が改善します。

また、皮膚のたるみが強い場合は吸引だけでは輪郭が整いにくく、高周波タイトニングや切除リフトを併用する選択肢もあります。ご自身の脂肪の質・皮膚の状態を正しく評価するためには、経験のある美容外科医の触診とデザインが不可欠です。関連する詳細は脂肪吸引の関連コラム一覧もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. お腹の脂肪吸引を受ければ、内臓脂肪も一緒に取れますか?

いいえ、取れません。皮下脂肪吸引で使うカニューレは腹壁の筋膜より外側の皮下組織のみを操作するため、腹膜より奥にある内臓脂肪には物理的に届きません。内臓脂肪は食事・運動・薬物療法による減少が原則です。

Q. ピンチテストで皮下脂肪が薄いのにお腹が出ているのはなぜですか?

内臓脂肪型肥満、あるいは腹直筋離開・筋力低下による腹壁の緩みが原因のことが多いです。この場合、吸引で得られる効果は限定的で、生活習慣改善や産後であれば腹直筋離開の修復が優先されます。

Q. 脂肪吸引後に内臓脂肪が増えることはありますか?

手術そのものが内臓脂肪を増やすわけではありませんが、術後に食生活・活動量が悪化すれば、吸引していない内臓脂肪や別部位に脂肪がつきやすくなるのは自然なことです。術後の生活習慣管理が長期的な仕上がりを左右します。

Q. BMIが高くても皮下脂肪吸引は受けられますか?

BMIが極端に高い方(一般にBMI30以上)は、麻酔リスクと内臓脂肪優位の体型であることが多く、まずは減量が推奨されます。当院では術前に総合的な評価を行い、安全に美しく仕上がる適応かを判断しています。

Q. 男性でも皮下脂肪吸引の適応はありますか?

あります。ただし男性は女性と比べて内臓脂肪優位の肥満が多く、皮下脂肪も線維化が強くやや硬い傾向があります。触診で皮下脂肪の量と質を評価した上で、適応と結果の予測を丁寧にお伝えしています。

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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)

日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員

米国医師免許資格(ECFMG certificate)

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