「厚労省認可」「国が認めた」という広告表現の実態──幹細胞培養上清液で見抜くべき”届出”と”承認”の違い2026.07.03
「厚生労働省認可」「国から認められた再生医療」——毛髪再生や薄毛治療のクリニック広告でこのような表現を目にしたことはないでしょうか。魅力的な言葉ですが、そこには医療広告として正しく読み取るべき「区別」があります。特に幹細胞培養上清液を用いた頭皮治療の分野では、”届出”と”承認”の違いを患者側が理解しておくことが、治療選びの精度を大きく変えます。
AVAN TOKYO 銀座 毛髪再生医療では、患者さんが自分の判断で治療を選べるように、制度と広告の実態を分けて説明することを大切にしています。本記事では、上清液の広告表現にひそむ「厚労省認可」という言葉の実像を、医療広告ガイドラインと再生医療等安全性確保法の視点から整理します。
「厚労省認可」という言葉が意味していないこと
まず前提として、幹細胞培養上清液は現時点で「医薬品」として厚生労働省に「承認」された製品ではありません。医薬品の承認とは、有効性・安全性についての臨床試験データを国が審査し、効能効果を認めるプロセスを指します。ミノキシジル外用薬やフィナステリド内服薬など、AGA治療で使われる医薬品はこの承認を受けています。
一方で、上清液そのものは薬機法上の医薬品ではなく、細胞培養の過程で得られる分泌物質(サイトカイン・成長因子・エクソソームなどの混合物)です。そのため「承認薬」というカテゴリーには入りません。ここで「厚労省認可」という表現が使われる場合、実際に指しているのは”再生医療等安全性確保法に基づく届出”であるケースが多いのです。
“届出”と”承認”は制度上まったく違う
再生医療等安全性確保法では、幹細胞培養上清液を含む再生医療等技術を提供する医療機関は、事前に治療計画を国へ「提供計画」として提出し受理される必要があります。これは”届出”であって、”個別治療の有効性を国が保証する承認”ではありません。届出は、一定の安全管理体制やインフォームドコンセントの手順が整っているかを届け出るための手続きです。
つまり「届出済み」は、その施設が制度に則って治療を提供する枠組みを持っていることの証明であり、「その上清液が発毛に効くと国が認めた」ものではないという点は、患者さんに正しく共有すべき情報です。

広告に登場する紛らわしい表現の読み解き方
医療広告ガイドラインでは、「厚労省認可」「国が認めた最先端治療」のような、患者を誤認させうる表現の使用は望ましくないとされています。それでもなお、こうしたフレーズがWebやSNSに散見されるのはなぜでしょうか。理由の一つは、届出済みという事実を”承認”のニュアンスに読み替えてしまう表現上の摩耗です。もう一つは、「上清液は最先端」というイメージ訴求と、制度用語の厳密さとの間に、広告表現上のギャップが生まれやすいことです。
患者側がチェックできる4つの視点
幹細胞培養上清液を扱うクリニックを選ぶ際、次の点を確認することで広告表現に流されにくくなります。第一に、その施設が第二種または第三種の再生医療等提供計画を届け出ているか。第二に、上清液の細胞ソース(臍帯由来・脂肪由来・歯髄由来など)と製造元が明示されているか。第三に、ロットごとの検査体制(無菌試験・マイコプラズマ・エンドトキシン検査など)が公開されているか。第四に、期待できる効果と限界を医師が誠実に説明しているか。
これらは薬機法上の”承認”の代わりに、治療の質と誠実さを推し量る現実的な指標になります。表現の派手さではなく、情報開示の粒度で判断すべきなのです。
毛髪再生に幹細胞培養上清液を選ぶときの誠実な期待値
上清液は、頭皮の毛包周囲環境に働きかけて、成長因子やエクソソーム由来のシグナルを届けるアプローチです。フィナステリドやミノキシジルとは作用機序が異なり、内服薬に反応しにくいケースや、内服の副作用が気になる方に対する補完的な選択肢として位置づけられます。ただし「必ず生える」「国のお墨付き」といった強い断定は、医学的にも制度的にも根拠に乏しい表現です。
現在の毛髪再生医療は、内服・外用・再生医療的アプローチを組み合わせながら、患者ごとの進行度と体質に応じた最適解を探る段階にあります。上清液はそのなかの重要なピースの一つですが、”承認薬”ではないという事実から目を背けず、期待できることとできないことを整理して受けることが、後悔のない治療につながります。
AGA治療の指針や標準的な治療については日本皮膚科学会のガイドラインも参考になります。あわせて、当院の毛髪再生医療の関連コラム一覧もご覧いただき、ご自身の状況に合った情報を集めていただければと思います。
まとめ:言葉の派手さではなく、制度と情報開示で選ぶ
「厚労省認可」という広告表現は、実際には再生医療等安全性確保法の”届出”を指しているケースが多く、上清液そのものが医薬品として”承認”されているわけではありません。この区別を知っているだけで、治療選びの解像度は大きく上がります。
大切なのは、制度上の位置づけを正しく理解したうえで、施設の情報開示・医師の説明姿勢・自分の期待値をすり合わせて決めることです。派手なキャッチコピーではなく、”届出の有無”と”情報の透明性”を判断材料にする——それが、幹細胞培養上清液を用いた毛髪再生医療と長く付き合うための第一歩になります。
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【監修】森脇 進 / Shin Moriwaki(監修医師)
日本美容外科学会(JSAS)会員 / American Academy of Aesthetic Medicine 会員
米国医師免許資格(ECFMG certificate)
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